中津市教委は本年度、市内高瀬出身で「道教」研究の第一人者として知られる故・福永光司元京都大学名誉教授の旧邸に眠っていた蔵書の整理に取り掛かっている。その数約1万冊。整理を依頼された県内の大学研究者らは「福永先生が追い掛けたテーマが分かる、しっかりとした蔵書目録にまとめたい」と話している。
福永さんは大正7年(1918)、市内高瀬で生まれた。京大哲学科を卒業。東洋哲学の権威として知られ、「老子」「荘子」など数々の著書を執筆。晩年は中津で夫婦で暮らし、平成13年(2001)に亡くなった。市内高瀬の旧邸と蔵書は、本人の遺言により市に寄贈されている。
蔵書は当初、市内の歴史民俗資料館の倉庫に保管されていたが、京都大学出身で東洋史専門の神戸輝夫・大分大学名誉教授が話を伝え聞き、「書物が傷む前に、道教研究の大家の蔵書を目録にまとめると後学のためになる」と市教委側に提案。7月末から、県立芸術文化短期大学の助教授らと一緒に書物整理を始めた。
蔵書は、清朝など王朝時代に製本されたものを含めた漢籍が中心。道教に関わる古典を網羅した『正統道蔵』(約400冊)のほか、儒教や仏教、日本の思想文学の書物に加え、福永さんが国内外の研究者とやりとりした書簡も見つかった。
神戸名誉教授は「蔵書から、晩年の福永先生が研究の視点を日本に移し、日本文化のルーツとして道教を見ていただろうことも窺える」と話す。蔵書は百科事典、思想、文学などジャンルに分け、本年度中にパソコンにデータ登録する予定。
市教委では、整理された著作の一部を、小幡記念図書館にある「郷土の偉人コーナー」に置き、貸し出しもできるようにする予定。